作曲AIの致命的な欠陥【対位法】の欠如

 弦が全く和声じゃない。Vn1だけそれっぽい動きをしているが、Vn2、Va、Vcの動きが皆無で退屈極まりない。メロと歌詞しか聞かない軽薄層には良いのだろうけど、頭を使わない量産型の曲を分から秒で作れるようになった、という利点はあるのだろうが、雰囲気だけで構造が全く欠けている音楽なんぞ作っても(聞いても)苛々するだけ。

人力による和声(対位法)の作例


 自分が生成AIに期待しているのは、ポップスのメロやコードや伴奏に合わせて、弦がちゃんと4声で仕事をしている作編曲。

 生成AIの曲を聞くと、Vn1ばかり歌メロと絡むだけで、Vn2、Va、VcがVn1と等しい声部として扱われていない。

 Vn1が動いたら次はVn2、Vn2が動いたら次はVa、Vaが動いたら次はVc、と4つが別個でありながら総体として仕事をする、ソプラノ、アルト、テナー、バス、という4声の音楽理論の基礎が全く抜けている。

 人間だろうと生成AIだろうと、こういう腑抜けた音楽は聴いていて苛々する。

 自分が幼少期にファミコン音楽の対位法を聴いて育ったから、コードだけで成り立つホモフォニーを軽視しているのはあるが、その後に、菅野よう子ミシェル・ルグランなどクラシックの和声と対位法をクラシック以外の音楽に持ち込んで見事に調和させている作家がいるのを知っていると、楽器だけストリングス、しかし、構造はただの長音コード、という音楽は弦を舐めてるとしか思えない。