ストリングス編曲

 結果論だが、自分は好評する音楽家は、ストリングス編曲の経験がある人が多い。とは言え、具体例は少ないのだが。

菅野よう子

 自分は楽器の価値に序列は無いと認識をしているつもりだが、リズムはドラムが1強としても、音程楽器はヴァイオリン(ストリングス)だと思っている。自分自身はピアノの人間だが、ピアノやギターという一般的な楽器は、発音後に音を強く出来ない。電力で音量を維持や増幅を出来ても、弱い音は弱いまま大きく、強い音は強いまま増減する。

 ストリングスは擦弦で連続的に発音を継続しているので、任意のタイミングでいつでも強弱の変化をつけられる。かつ、管楽器と違い呼吸に依存しない。

 それに、ピアノやギターの人間は基本的にコードで考えるので、ストリングスのように4和音じゃなく4声と考える人が少ない。4声を使える人間は4和音も容易に理解が出来る。そして、ピアノやギターの発想は音を細かく区切ったリズムが基本だが、ストリングスは長音のまま加減が可能。1小節は強く、2小節は弱く、同じ音を継続しながら加減が出来るので、楽譜上は単純でも、表情が豊かで、アタックに依存しない感覚や発想を得られる。

 世の中のバンドは、ドラム、ベース、ギター、キーボード、歌手……が標準だが、自分はギターかキーボードのどちらかを排除してヴァイオリンやチェロを標準にすべきと認識している。あるいは、キーボードは2分音符以上の音価で、単音で良いから対旋律を担う。経験則だが、ストリングス編曲を出来ない人は、長い音価と弱い音の認識に欠ける人が多い。聞き取れないが感じる音、という認識が弱い。

 自分は決してクラシック至上主義ではないが、リズムとコードと歌メロしか無い音楽は退屈。大雑把なコードという離散よりも、いつでも主役が入れ替わる和声や対位法の方が、頭を使い油断せずに聞かなければならないので、疲れるが面白い。