背中で語る構図

 自分は古典的な男の価値観が強い。即ち、言葉は不要で背中で語る。漫画や映画やアニメなど映像作品の場合、見せ場は顔のアップで笑顔や泣き顔が基本だが、自分は表情が見えない方が好き。そもそも、登場人物も本音がわからない方が作品は面白い。ああだこうだと登場人物の本音を全部台詞で説明されると、馬鹿にされてる気がする。お前らには所詮、人の何かを考える能力なんぞないのだと。

 自分は女向けの作品にあまり馴染めない。面白い作品はあるが、誰も彼も本音を台詞で過剰にぶちまけて表情豊か、逆に言えば綺麗な顔しか見せない。表情が見えず本音がわからない描写を見せ場で採用されない。もっと怒っているのか悲しんでいるのか諦めているのか喜んでいるのか、我々消費者には見えずわからないように描いて欲しい。こちらの頭を使う余地を残してくれないと、作品を見るだけ無駄。

 そんな自分は、以下のような古典的な構図を好む。

 奥に敵の死骸の山。それを実行した剣士の後ろ姿。剣士の背中を後ろから見ている女。この時に、剣士は女に笑いかけたり声をかける必要はない。女もまた喜んだり抱きついたりする必要はない。むしろ、剣士は女を守るために悪魔を倒したが、意識は女よりも悪魔に向いている。女は剣士に感謝をしているが、剣士の悍ましさを垣間見て矛盾を感じる。お互いに愛し合いながら、小さなすれ違いが含まれる。

 自分はこういう構図や描写を好む。登場人物の本音を1から10まで描写する幼稚さにはついていけない。だから漫画もアニメも映画も消費しなくなり、今ではノンフィクションの本しか読まなくなったのだが。

 もっと読者に本音がわからない考えさせる作品が増えて欲しい。