アオのハコ


 漫画絵の把握のためにピッコマの無料で読める漫画を無作為に漁っていて行き当たった作品の1つ〈アオのハコ〉。無料で読める2巻までの評価だが、恋愛は腐るほどあるベタ甘のどうでも良い要素だが、輪郭線に依存しない動きの描写と、恋愛も競技も大事な見せ場では擬音や効果音を使わず文字の無い絵1本を叩きつける硬派な演出が良い。

 心情独白が多いのは、この手の漫画の欠点ではあるが、本作は記号的な赤面の消費が極端に少ないし、ドキ、キュン、のような頭の悪いテンプレも無い。表情は漫画らしい誇張表現であるが、その表情に伴う周辺の装飾や演出が静か。もしも〈あだち充〉がジャンプ作家だったら、という平行世界を見ているような感覚。

 恋愛作品ながら、恋愛以外に人生を賭ける対象があり、平行して恋愛があるだけ、というのも、自分みたいな恋愛作品に吐き気を催すような人種にも優しい。

 ただ、10巻前後で表紙絵劣化している。顎が量産型のとんがった腐萌え絵になってしまっている。かつての和月伸宏を見ているような感覚だった。彼もまた、繊細かつ迫力のある絵を描ける天才だったが、週刊連載の地獄に耐えきれず、絵柄が酷く劣化してしまった。どうやら〈アオのハコ〉も同様に週刊連載で消耗してしまったようだ。

 最近だと〈葬送のフリーレン〉が不定期連載にすると公表したが、昔と違い今は読みきれないほどの漫画に溢れ、誰もがデジタルで読んでいるのだから、もはや週刊に固執せず、月刊あるいは不定期で健康と絵柄と品質を維持する方が大事ではなかろうか。

最序盤の絵 中期以降の絵

 素晴らしい才能が大量消費の過剰なスケジュールで破壊されていく様を見るのは悲しい。