〈葬送のフリーレン〉を読むのをやめた理由

〈葬送のフリーレン〉を読むのをやめた理由

  1. 登場人物が美男美女しかいない。
  2. かつての人情と抑制を失い厨二会話ばかり。
  3. 登場人物が用いる戦闘技術に無頓着。

 特に❸が酷い。本作は人情作品としては素晴らしいが、戦闘描写はゴミ。

葬送のフリーレン葬送のフリーレン
❶左画像/❷右画像

 上記の画像は、敵が後ろから不意打ちをするが、仲間Aの背後を仲間Bが庇うという流れである。この敵の太刀筋が明らかにおかしい。

 敵は2刀流で左腕も右腕も右側に引いて構えている。つまり、左腕の攻撃も右腕の攻撃も、右から左に移動するのだから、右腕の武器は正面または右に傾いてないとおかしい。しかし、左に傾いている。この角度になるには、右手を左から右に動かさなければならない。仮に両腕を右から左に振り、初撃は左腕、そして時間差で右腕えお左から右に振ったならわかるが、擬音は1回の衝撃しか描写をしていないので、左腕では攻撃をしていない事になる。

 この漫画家は、明らかに脳内で人物の動きを再生できていない。ただ静止画の構図が美しければ、登場人物の行動の動線など取るに足らない、というタイプ。

弓矢

 次に弓矢の描写である。本作は中世ヨーロッパの文明と文化を下地にした架空世界の物語である。なので使用される弓矢は洋弓である。

 洋弓は矢を左につがえる。理由は、狙いやすいように斜めに構える場合があり、右につがえると矢が落下するから。

 そして、本作もちゃんと左につがえている、と見せかけて、別の場面では右につがえている。何の理由もなく。

葬送のフリーレン/弓矢葬送のフリーレン/弓矢

もののけ姫

 宮崎駿のアニメ〈もののけ姫〉は日本を舞台にしているので使用されている弓矢の知識と技術は和弓である。

 和弓は矢を右につがえる。理由は、馬上から左に向かって撃つのが前提なので進行方向から逆風となる見かけの風が発生するので、矢を左につがえると〈その風〉に押されて矢が宙ぶらりんとなってしまう。だから右につがえる。

 しかし、洋弓と同じように斜めに構えて撃つ場合もあるが、それをすると矢が支えを失い落ちてしまう。では宮崎駿はどうしたか?

 答えは簡単。右手で弓を構えて左手で矢を撃った。

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もののけ姫/弓矢/和弓/右につがえる/宮崎駿

 こうすれば、矢を右につがえる、というスタイルを崩さずに水平や斜めに構えて撃てる。

 葬送のフリーレンにはこういう原理の理解や応用が無い。漫画家が、登場人物が用いる知識や技術や原理や行動に興味がない。ただ、静止画で何となく綺麗であれば良いと認識している軽薄な作家。だから自分は読むのをやめた。

JKハルは異世界で娼婦になった

 JKハルは異世界で娼婦になった 1巻: バンチコミックスという漫画がある。作中で主役が元彼の影響で〈D/G/A/Bm〉のコードだけ弾けるという台詞がある。その後に披露した演奏が以下。

〈JKハルは異世界で娼婦になった〉〈B5〉〈パワーコード〉
〈JKハルは異世界で娼婦になった〉〈B5〉〈パワーコード

 楽譜を読める人間には自明だが、これはB5(パワーコード)でありBmではない。以下に比較した動画を示す。前者がB5で後者がBm。

 別にコードを知らないならわざわざ明記しなければいいのに、私はわかってます、という描写をしながら間違えた知識を披露している。

軽薄な漫画家

 どれだけ絵が綺麗でも、こういう過誤がある作家は読者と分野を舐めてるとしか思えないので、自分には下層の作家と作品となる。