推し活()

 誰かを助けたい、と思うのは立派。しかし、推し活の本質は、何も出来ない人間が何かの役に立っていると錯覚し、年単位の努力や勉強や練習を不要とする手軽な自称〈個性〉を獲得する手段に過ぎない。

 藤井聡太に憧れて将棋を始める。大谷翔平に憧れて野球を始める。菅野よう子に憧れて対位法を学ぶ。聲の形に感動して手話を勉強する…などなど何かを実行して実現するのではなく、対象に金額を幾ら使った、という事だけで自分の能力や個性を定量化して自分には何かあると錯覚するための行動が推し活。

 本来は、自分の恋人や夫婦や親や子供に向けるべき愛情と行動を、その対象が無く簡単に程度を把握が可能な金額で認識する幼稚さ。

 しかし、資本主義経済では全く正しい行動でもある。金を使えば使うだけ喜ばれるのだから。金銭上は豊かで、精神的に貧しいというジレンマ。