【喪服の似合う少女】を読んだ感想

【喪服の似合う少女】画像生成〈Gemini〉

 SF小説界隈で信用が出来る人が、SFではないが面白いと言っていたので読んだ作。

 結論から言えば、古典的な大衆娯楽としては面白いが、何も新しい価値観もトリックも提示的ておらず、抽象的に主題よりも具体的な装飾を好きな作品だと思った。

 1934年の中国の架空の街に住む美人の探偵。お嬢様の女子高生に娼婦など女の現実など。

 中国の文学的な知識や歴史の名称やネタが出てくるが、それは定数が代入されているだけであって、式そのものはありふれたもので、自分には退屈な時間が多すぎた。

【喪服の似合う少女】画像生成〈Gemini〉

 依頼人であるお嬢様で美少女の女子高生が主役探偵に惚れてキスするなんて、同性愛者の苦楽を描くと言うよりも、男(作者)が客に逆らえない娼婦を使ってニヤニヤ遊んでいるようにしか思えなかった。

 構造は京極夏彦絡新婦の理と変わらない。男が女を描く以上は、如何にして女の賢さと苦楽を描くかと言うと、性的な魅力と言語的な有能と直接手を下さない立場の保持であり、そして、それを漫画的な単純なハッピーエンドで終わらせずに意味あるように見せるためには。犯人の目的は果たしたが幸せにはなれなかった、という因果応報の収束。

 本作と絡新婦の理 の決定的な違いは、後者は蘊蓄が物語の設定と展開を支える骨であるのに対して、本作の知識や蘊蓄や固有名詞は皮膚だったと言う事。

 三体 (ハヤカワ文庫SF)にも言えるが、中華系の作品は、特に上位に来るような作品は、日本以上にエロゲな気がする。日本はジャンルとして棲み分けていて、こういうのはラノベやなろう系が担うが、中華系は堂々とジャンル代表の一般作品でエロゲをやってしまう感じ。

 自分には馴染めない価値観であった。