音楽には基本的に拍子がある。4/4拍子が壱般的だが、3/4拍子も4/4よりは少ないが壱般的な単純拍子である。単純拍子とは2の倍数の拍子と3の倍数の拍子で、2、4、8と3、6、9などが単純拍子。それ以外の5、7、11などは変拍子と呼ばれる。
自分は単純拍子の3/4や6/8が好きで、変拍子も好きである。
自分はファミコン音楽で音楽を娯楽として消費し始めたのだが、ファミコン音楽は3和音しか使えないという厳しい制約があるからこそ変拍子の音楽が多かった。例えば、有名な所だとドラゴンクエスト4の戦闘曲である。
この曲はイントロからサビ前までは4/4拍子だが、サビは9/8、2/4、7/8という変拍子である。変拍子とは2つの意味があり、1つは既に紹介した2の倍数と3の倍数じゃない拍子であるが、もう1つ、単純拍子でも2つ以上の拍子が組み合わせて採用されると、それも変拍子と呼ぶ。この場合は、9/8と2/4は単純拍子だが、4/4から変化しているので変拍子と呼ばれる。
こちらは純粋な3/4の単純拍子だが1拍3連なので不思議なリズムに聞こえる〈天地を喰らう2(店)〉である。
自分は年齢が1桁の頃から、こういう変拍子あるいは単純拍子だが非4/4の音楽に慣れ親しんでいたので、友達が騒いでいるポップスが退屈でしょうがなかった。体感で4/4が100%だったから。
さて、今は生成AIで簡単に音楽を作らせる事が出来る時代である。そこで、GeminiとSunoに3拍子を指定して作らせたら、どちらも4拍子を出力した。
3拍子は何も特別な拍子じゃない。しかし、現在の生成AIは3拍子を出力が出来ない。Geminiは汎用のAIだからしょうがないにしても、音楽に特化したAIであるSunoが出来ないのは全く意味がわからない。
AIは外れ値を出力が出来ないので、4拍子と非4拍子の音楽に関する統計がないかと調べたら、400曲と500曲という母数ではあるが、ビルボードの上位曲から売れている音楽の傾向を明らかにした調査があった。それが以下の2記事である。
- https://www.cedricceulemans.net/uploads/2/0/4/2/20423775/does_music_matter_in_%E2%80%9Cpop%E2%80%9D_music.pdf
- https://www.thomann.de/blog/en/learn/why-4-4-time-dominates-in-pop/
これらの記事曰く、440曲の94%が4/4拍子、514曲の97%が4/4拍子。合わせた平均95%が4/4拍子となる。4/4対3/4ではなく、4/4に対して非4/4全体が5%以下である。流石にこれにはびびった。
思えば、2025年に日本で聞かれたSpotify上位の曲は全てが歌曲かつ4/4拍子だった。
自分のように非4/4を4/4と等しく聞いている消費者は、これらの傾向から察するに5%以下。
自分は菅野よう子ファンだが、その複数ある理由の中に、非4/4拍子の曲が多いから、というのがある。例えば、彼女が1996年から2003年まで面倒を見ていた坂本真綾の人気10曲の中に入っている〈約束はいらない〉〈光あれ〉〈奇跡の海〉は3拍子、4と5と6の変拍子、3拍子、と非4/4拍子である。
上位10曲なら30%の非4/4拍子が菅野よう子の音楽。上位30なら〈指輪〉もあり、これはAメロが4/4でサビが3/4の変拍子なので、4/30で13%の非4/4拍子が彼女の作品である。95%が4/4の世界だと考えると、明らかに異常な数字である。
自分は歌曲より器楽が好きなので少数派だが、非4/4拍子を4/4と等しく扱えるという意味でも少数派であり、その数字が思ってた以上に大きいと思い知った。
この95%の数字をどこまで一般化して良いのかわからないが、Spotifyの2025年の上位曲にも非4/4が無い事を踏まえると、非4/4を聞いているのは5%以下というのは的外れじゃないようにも思える。
何よりも、生成AIが、3拍子、という1行だけのプロンプトにも関わらず4/4拍子を出力するという現実。下手をしたら、4/4拍子の音楽しか知らないという消費者が90%くらいはいるのではなかろうか。
音楽は拍子で優劣が決まるものではないが、だからこそ4/4と非4/4は等しく扱われて当然であるはずなのに、答え③現実は非情である。