自分は以下の4コマ漫画を読んで愕然とした。

女:男子、真面目に歌ってよね。音楽は基本的に4声で成立している。ソプラノ、アルト、テナー、バス。基本的に主旋律はソプラノが歌う。場合によってはアルトが歌う。
男:女子にはわからないだろうな。主旋律を歌えず、原曲と違うKeyで、サビで暗く低い声で歌わされる男子の気持ちは。
その意味で、男が担当するテナーとバスは基本的に旋律じゃなく伴奏を担う。それは正しい。この漫画にGoodが2万もついて、同意者の反応が数多あった。
しかし、自分がこの漫画を読んで真っ先に思ったのは以下。
- 対旋律を作ればええやん。
- こういう連中はヴィオラやチェロの音なんて全く聞いてないのだな。
- 歌手以外の演奏を過小評価しているゴミ。
自分が去年Spotifyで1番聞いた音楽は以下の〈虹いろクマクマ〉である。
この曲の何が素晴らしいかと言えば、歌メロとヴァイオリンは1番サビ、2番サビで同じ事を繰り返しているが、ヴィオラとチェロは毎回違う動きをしている事。特に内声を担当しているヴィオラが最高で、最初は3和音の1部をやってただけなのに、途中から7thをやったり、ヴァイオリンにハモったり、とにかく変化が激しく忙しい。それでいて、やたらと動いて主張するでもなく、2小節以上の長音までやっている。それを楽譜にしたのが以下である。
しかし、恐らくこの漫画を描いた作者や、これに賛同している連中は、主旋律だけが旋律で対旋律を知らないし、ヴィオラとチェロ(テナーとバス)が和声に及ぼす多大な影響力もわかっていない。
こういう連中は、普段ポップスしか聞かず、その中で歌メロしか聞かず、歌の裏でテナーとバスが何をやっているかなんて認識もしていない。
更に言えば、絶対音感を科学するが示す通り、移調は相対音感が優れていないと出来ず、一般的に音楽の凄い才能と誤解されている絶対音感を持っていると、むしろ滑らかに対応が出来ない。現在の音楽が平均律を選択している理由は、原曲Keyに固執せず自由に歌えるからだという歴史的経緯も知らず、原曲を至上としている実に稚拙な認識。
しかし、Spotifyで再生された日本の音楽トップ100が全てポップスである事を考えると、歌曲の主旋律しか認識を出来ない消費者しかいないのも頷ける*1。
こういう連中は、自分が歌いながら、歌っていない音を脳内再生が出来てない。自分がDoを歌った時に、他のパートがMiとSoを歌っているのを漫然と聞いているだけで、自分が実際に歌っている声の音と、自分が歌っていない脳内の音を重ねて2つ以上の音を自分で認識する事が出来てない。テナーやバスを歌いながら、ソプラノやアルトを脳内再生するなんて、合唱(合奏)では当たり前の事なのだが、声と脳内の音が自分が歌う1つの音しか鳴っていないから、合唱のテナーとバスを退屈だと感じる。
つまり、根本的に奴隷の精神。ただ自分の作業だけに没頭して、それが全体にどんな影響を及ぼし、そもそも自分が何かをやりながら、やっていない事を脳内で補完する能力に欠ける愚か者。
自分は度々、日本の音楽は歌曲ばかり消費されて器楽が無視されている事を指摘して嘆いているが、和声や対位法を学べば、ソプラノが4分音符で動くメロに対してテナーやバスは2分音符や全音符で動くメロなのだと理解するのは容易なのだが、もちろん、それは専門的な知識なので、高校などの合唱でそれを理解する能力がある生徒は少数派だろう。
昨今の漫画は登場人物が美男美女しかいなくて自分は辟易しているが、音楽も同様に、テナーやバスをソプラノやアルトと同等に認識が出来ない音楽認識が稚拙な消費者ばかりで辟易する。
これは一般的な音楽の教育も悪い。何故なら、リズムを取らせる時に両手で手拍子をやらせるから。右手でビート、左手で自分が担当するリズムと、異なる2つのリズムを練習させれば、普段から脳内で2つ以上の音を鳴らすなんて当然になるのだが、専門的な教育でもない限り、音楽は1人1つの音しか割り振られない。しかも、自分以外の音を聞く、脳内再生する事も教えない。
これで音楽におけるメロ以外の重要性がわかるはずもない。