自分は音楽の編成で言うなら管弦楽が1番に好きである。50人以上の演奏者が駆使する音量と音色の幅が最高である。しかし、どの程度で生演奏を聞いていると言われると、年に1回もない。録音されたものはほぼ毎日聞いているが、生演奏は皆無。
理由としては、まず、聞きたい曲が少ない。これがポップスやサントラなら60分の間に興味がない曲もあるが、精々5分だけで全体の抑揚に1役を買っている。しかし、クラシックにも5分程度の曲は山ほどあるが2管編成以上のフルオーケストラとなるとやはり40分程度が基本で。興味のない範囲が広い。
そして、中層以下の演奏では感動を出来ない。ヨーロッパの上層オケや、アメリカのハリウッド映画の演奏をしてるような超1流を日常的に聞ける時代に、fffまで出てない強弱や、16分音符で引っかかるような中層以下のオケを聞いて何の得があるのか。
そもそも、50人以上の集団(会社)が全て利益をあげるなんてあり得ない。中小企業的な管弦楽団がいるのは良いが、商売とは勝敗を決する分野であり、全員が勝者などありえない。問題なのは、管弦楽の優劣を判断が可能な消費者は日本のオケを聞かないし、判断がつかない雰囲気だけ楽しみたい壱般層を捕まえる事も出来ていない。
編成が大きいが故にチケットを安価にも出来ないし、どんな分野でも巨大な予算が必要な企画や商品は当然リスクも大きくなる。
ゲームやアニメがここまで浸透して、これらのコンサートは頻度が少ないとはいえ安定した集客を実現している以上は、演奏される曲で需要を獲得が出来ていないのもあるだろう。大概の消費者は漫画や小説を読んでも参考文献を読まないのと同様に、ゲームやアニメの音楽の元ネタになっているクラシック音楽を聞かない。
これはよく言われる事だが、そもそもクラシック音楽とは選民的で階級的な分野なので、庶民的な指向が強い日本では向かないのもあるだろう。人気のソリストはいても、多くの消費者は音を聞き分ける能力もなく演奏者の顔や世代や性別を消費しているだけである。管弦楽は要素として絶対に必要でも、気軽な消費は出来ない。
逆に、自分が管弦楽を好むのは、その難しさ故であるし。バンド編成の曲と管弦楽の曲を作るのでは難易度の差は自明である。だからこそ、難易度よりも雰囲気を味わいたい消費者を捕まえるのも難しい。Spotify 日本で聞かれた上位100曲の中に器楽(インスト)が1曲も入っていない事実からも需要の差は明らかだ。
器楽、大編成のコスト、興味がある対象の消費時間。これらが歌曲と小編成と短時間が正の相関であるのに対して、負の相関にしかなっていない。ショート動画が全盛期の現代において、管弦楽の音楽は提供する側にとっても消費する側にとってもコストが高すぎる。
